『週報』

北野唯我のブログ。人材領域をサイエンティフィックに、金融市場のように捉える為の思考実験の場。

「好きを仕事にする」理由、ロジカルに説明できますか? 為末×北野

 

トレードマークの“あご髭”に手を当てながら、為末さんは呟いた。


自分の人生を生きる、これにしよう

 

テーマが決まった。今年の夏にインタビューしてから半年。何回か打ち合わせを経て、対談のテーマが決まった。そして先週末、中目黒で、15名限定のトークイベントを行った。議題はもちろん「自分の人生を生きること」だ。

 

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イベントの帰り道、僕はぼんやり考えた。根本的な問題はどこにあるのだろうか。言い換えれば

 


「なにが、人々を、不安にさせているのだろう?」と。

 


結論から言おう、現代のビジネスパーソンを不安にさせている原因は

 

 どの世界でも自分らしく生きていける、そんなイメージが湧かないこと。

 

に、違いない。


どういうことか?


世界はグローバルカンパニー、ローカルチャンピオン、フリーライダーに三分されていく

先日、面白い記事を読んだ。孫正義と、(当時は後継者と言われていた)ニケシュとの対談だ。

 

孫:まあ、私はサービスやコンテンツというところではローカルチャンピオンが強いと思っています。ここに好機があると思います。例えばインド、日本、中国。こういったところは十分なサイズの国ですから、ローカルの創業者にチャンスがあります。(以下略)

http://logmi.jp/106598

  

僕はこれを読んだ瞬間に「まさにその通りだ」と感じた。ソフトバンク自身は間違いなく “グローバルカンパニー”を目指している。一方で現代は、“ローカルチャンピオン”の時代でもある。卑近な例でいうと、Youtuber、オンラインサロンを代表とされる「個人」の時代だ。これらは一見すると矛盾する流れに見える。だが、世界が「3つに分断されていく」と考えると、整理が付く。 

▼世界は3つに分類されつつある

・グローバルカンパニー ……世界的に展開する企業。流通コスト、規模の経済で「最強の合理性」を持っている

・ローカルチャンピオン ……「共感」や「感情」をもとに価値を出す企業。コンテンツやサービス領域以外の産業は淘汰される。

フリーライダー ……国や地方自治体などの補助がなければ、実質的に生きていけない人たち。

 


簡単に説明するとこうだ。


今後、“グローバルカンパニー”が、ほとんどのローカルな企業を統合していく。ローカルな企業は「合理性」では彼らに勝てない。だが「共感」や「感情」を軸にしている部分だけは勝てる。それに勝ち抜いた人々は「ローカルチャンピオン」として生き残る。一方で、ローカルな企業から溢れ出した人は失業し、社会保障によって生きていく。つまり「ただ乗りする人」(フリーライダー)だ。


そして、言うまでもなく“フリーライダー”を、理論上可能にするのは、ベーシックインカム論議だ。グローバルカンパニーが、人類の無駄を圧倒的に排除することで、これまで「ローカルな企業」として働いていた人は、フリーライダー”として生きていく事ができるようになる。あるいは、「生きていかなければならない」。これが


世界は3つに分断されていく、ということだ。

 

問題は「どこにも置いてけぼりの、僕」という存在

世界のこの流れは、凄いことだ。資本主義と社会主義ミックスされたような「究極の形」に近い。それは合理的であり、止めることは難しい。だがミクロで見た時、問題は別にある。問題は



という存在なのだ。言い換えれば、世界が変わり行く中で、自分だけが追いつけていけていない感覚。これが問題なのだ。


 多くの人が実は「グローバルカンパニーの中で生きて行くことに、違和感」を感じはじめている

想像してほしい。あなたは、自分がグローバルカンパニーで働くイメージができるだろうか。本屋が潰れ、地元の友達が「Amazonで働くイメージ」は湧くだろうか。ドメスティックに生きてきた日本人にとって、グローバルカンパニーで働くことは、全くイメージできないことなのだ。


では、そんな頑固な僕らは、どうやって生きて行くことができるのだろうか?
それが2つ目の「ローカルチャンピオンとして生きて行くこと」だ。だが、ここにも問題がある。


ローカルチャンピオンの価値は、「共感」や「感情」にある。そもそもタレント業や、キャバクラなどの感情労働が存在しているのは「共感するもの」は、ビジネスになるからだ。そして、ローカルチャンピオンとして生き残る為に必要なのは


 好きなものを持っていること


なのだ。Youtuberの「好きを仕事にする」、ホリエモンの「仕事は遊びになる」という言葉が分かりやすい。ローカルチャンピオンは「好きなものを持っている人」が最強なのだ。


でもこれは日本人にとっては簡単なことではない。日本人は「好きなものを持つトレーニング」を受けてこなかった。したがって、グローバルカンパニー、ローカルチャンピオンにもなりきれない。その事実に不安なのだ。


「Fearとdanger」は違う:リスクを正しく認識する機会が必要

為末氏は対談の中で、何度か、「Fearとdanger」は違う、という話をした。これは間違いない。僕らは、危険(danger)を正しく認識出来ない。必要以上に、恐怖(fear)を感じる。


だが、本来はこの「安全であるか」という心配は、不要なはずだ。なぜなら、それを解消するのが、ベーシックインカムの考え方だからだ。公務員の費用を極限まで削減し、コストを再配分する、結果、全ての人が最低限生きて行くことができるようになる。この構造を理解していないから、なんとなく不安になるわけだ。現代において大事なのは「Fearとdangerを分けて考え、正しくリスクを認識すること」なのだ。

 

 

 1/21(日):第二回、為末大×北野唯我トークイベントをやります。

1回目のイベントを終えて、僕らは打ち上げをした。飲み会も終わろうとしていたとき、為末さんから、興味深い発言があった。こうだ。


2020年から、日本のセカンドキャリアが始まる

 

これは的確な指摘だ。テクノロジーは進化し、変化のスピードはかつてないほどの早くなった。そんな中で僕らは、“自分の人生を生きること”を急に求められはじめている。勘の鋭い人達はもう気付き始めている。そしてそんな人達を集めて、議論できる場が求められている。


自分でいうのもなんだが、為末さんや(もう一人の相方である)高木新平と、僕は、比較的良い組み合わせだと思う。彼らはアイデアフルだ。その拡散された思考を、僕が構造的に捉え直す。自分が参加するイベントは、単に不安をあおるだけのイベントではなく、できるだけ「構造的に」そして「建設的に」進めていきたいと思う。


第一回は、満足度9.0点/10点、「また参加したい」という人が94%だった、為末さんとのイベント。後悔することはないかと思います。一緒に議論し、知恵を貸してくださる方を探しています。

 


イベントの詳細はこちらから

 

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